梅雨の母子物語


私の会社には住み着いた野良猫が多くいる、その中の一匹のメス猫のある日の話である。その猫にはイザベルと言う勝手に命名された名があるので以下イザベルと呼ぶ事にする



画像はここ



イザベルは三毛猫で元々飼い猫であったらしく、他の野良とは違い人間に対し警戒心がない



餌をねだって皆の足元に寄っては「猫撫で声」で精一杯のセクシーをアピール、まんまとご馳走を頂くと言う処世術に長けたメス猫である



人間だったら確実に売れっ子NO1キャバ嬢ではあるまいかと勝手に想像しニマニマしている、中年男にして猫好きなおっさん、そう私「波万勝」であります



そんな年頃のイザベルもこの春めでたく3匹の子供が生まれ母になった



会社の片隅に隠れ家を作ってもらい親子4匹、健気に暮らしているのだが・・



ある日、休憩時間にいつもベンチに座り読書をしていると、これまたいつもの様にイザベルが足元でセクシーアピールを始めたのだが何やら、いつもと声が明らかに違う、しかも何だか「こっちに来て」とばかりに、こちらを振り返りながら向こうへ行こうとするのだ



「??」と思い後をついて行くと、何処からか違い猫の鳴き声が聴こえるのだ、しかも子猫の声が・・そこで、イザベルの後を追って5m程進むと深さ50cm程の排水口の中に子猫が落ちて出られなくなっていた



そこで全て理解できた



イザベルの意向を察した私は手を入れて子猫を拾い上げ、待機していた母に丁重にお返しした



しばらく舐めあっていた母子であったが、隠れ家までは50m程あり途中には車が行き交う道路を2本渡らねば帰れない



・・とイザベルが子猫の首を咥えてスタスタとしかも逞しく車が往来する道路を渡り我が子を連れて帰っていった



その姿にはもう「売れっ子NO1キャバ嬢」の面影はなかったし、パトロンの一人である自分を理解した瞬間でもあった



そんな梅雨の晴れ間の一コマ



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